顎は左右一対になった関節とそれを動かす筋肉があります。また、関節の上下の骨の間には、顎がスムーズに動くように関節円板というクッションがはさまっています(図)。 顎関節症は、顎の関節が障害を受けるもの、顎を動かす筋肉が障害を受けるもの、その両方が障害を受けるものとがあります。主な症状としては、顎の関節や顎を動かす筋肉が痛い、顎を動かすとカクッという音が鳴る、口が大きく開かない、口を開ける時まっすぐ開かない、などがあります。ただし、親知らずや唾液腺の炎症などの場合にも、顎関節症と似たような症状が出ることがあるので、他の疾患との鑑別をする必要があります。 |
顎の痛みは、関節の痛みと筋肉の痛みがあることを述べましたが、関節の痛みは、捻挫のように関節に強い力が加わった場合、関節のクッション(関節円板)がずれてしまった場合、関節の骨が変形してしまった場合などがあります。筋肉の痛みは、激しい運動をした後に体が筋肉痛になるのと同じで、顎を動かす筋肉に大きな負担がかかることで痛みが出ます。程度が軽い場合は、痛みではなく「顎がだるい」という症状のこともあります。関節の痛み、筋肉の痛みともに自発痛であることはほとんどなく、口を大きく開けたり、咬みしめるなど、顎を動かした時に痛みが出るのが特徴です。ですから、自発痛がある場合は他の疾患を疑う必要があります。
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顎関節症の原因は、歴史的に様々考えられてきましたが、まだ十分には解明されてはいません。現在有力と考えられているのは、悪習癖、精神的ストレス、外傷性、咬み合わせの異常の4つの因子が単独あるいは複雑に絡み合って起こるとされています。
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